美馬レディースクリニック 美馬博史院長先生に自然妊娠力の高め方と早期治療の重要性についてお話を聞きました。
美馬レディースクリニック 美馬博史先生
東京慈恵会医科大学医学部卒。 同大学附属病院産婦人科、美馬産婦人科院長を経て現職。
産科婦人科および不妊治療の臨床医としての長いキャリアを踏まえ、妊孕性(妊娠する力)を守る大切さを訴え、体にやさしいホルモン治療、カウンセリング療法、抗酸化食事療法等を積極的に啓蒙している。『自然妊娠力を高める本』(海竜社)、『妊娠したい!と思ったらすぐ読む本』(海竜社)など著書多数。
体外受精では、女性の卵子を取り出し、パートナーの精子と受精させることで出来た受精卵を子宮に戻します。
このとき、動いている精子を人間の目で見て一匹だけ捕まえるので、異常精子の選別ができず、染色体異常や奇形児のリスクがあると感じています。
自然妊娠では、卵子の細胞膜にあるアンテナようなものが働いて、良い精子をセレクトしてくれているのです。ですので、妊娠しやすい身体づくりをして、自然妊娠力を高める治療を推奨しています。
もちろん異常精子は少ないほうが良いです。
男性では、過労やストレスから、正常精子を作る造精機能が低下してしまい、異常精子が造られるようになってしまいます。
しかし、精子のセレクトには卵子にあるアンテナが深く関わっています。このアンテナが狂ってきてしまうと、異常精子を捕まえてしまう可能性が上がってしまいます。
加齢やストレスなどでアンテナの狂いが生じてしまうので、女性も注意が必要です。
まずは、妊娠できる力を検査で調べていきます。
排卵が正常に行われているか、卵管が通っているか、ご主人の精子のチェック、また、自然妊娠が可能か調べるために、卵巣年齢の検査もします。
当院では合わせてソイチェックをして、大豆イソフラボンからエクオールを作れるかを調べています。
エクオールは女性ホルモン様作用があるため、妊娠力に大きく関与しています。
豆乳や納豆などの大豆食品を摂取していても、日本人の57%がエクオールに代謝できていないと言われていますが、体感だと8割ぐらいの方がエクオールを作れていない印象があります。
エクオールは腸内細菌の働きによってイソフラボンから代謝されるので、腸内環境が関与していると考えられます。
日頃から、大豆製品や発酵食品を食事に取り入れて、腸内環境を整える心がけが必要です。大豆製品をたくさん摂るのが困難な場合は、イソフラボンサプリメントを活用するといいでしょう。
妊娠では排卵して次の日に受精、卵管に4日間滞在して5日目に着床します。この着床時に、子宮の環境を整えてあげることが大切です。
子宮内膜の状態が良くないと、受精卵がくっつくことができずに剥がれ落ちてしまって、上手く着床できないことがあります。慢性的な子宮内膜炎を起こして、着床障害になってしまうことも。
腸内環境と子宮の環境は密接に関係しているので、腸内環境と妊娠力には深いつながりがあると考えています。
まずは生理不順を放っておかないこと。
一週間以上生理が続いたり、正しい周期で生理がこない場合には早発閉経や不妊の原因となる多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性があります。迷わず卵巣年齢をチェックしてください。
また生理痛も、我慢せずに産婦人科に相談し、検査をしてみることが重要です。慢性的な子宮内膜炎は将来の不妊につながってしまう恐れがあります。
妊娠には卵巣年齢が大きく関わっていますが、疲労やストレスからくる「身体のサビ」(酸化ストレス)や、ピルの使用などによって卵巣年齢が上がってしまいます。
また早発閉経のリスクを高めてしまう可能性もあります。そのため、抗酸化力を高めていく心掛けをすると良いでしょう。
またソイチェックや卵巣年齢の検査を早めにして、自身の身体を知ることが大切です。妊娠したいと思ってから動くのではなく、若いうちから将来のために身体づくりをしていきましょう。
エクオールを作れない人には、積極的におすすめしています。
将来妊娠を考えている方、不妊で悩んでいる方は特に、早めに取り入れて、腸内環境を良くしていく必要があります。
イソフラボンサプリメントは薬ではないので、作用が優しくて安心感があります。作用が強いものは子宮内膜に影響したりとリスクもありますが、イソフラボンサプリメントは長く続けられる点も、メリットに感じています。
本日は貴重なお話をありがとうございました!