津田沼IVFクリニック 吉川守院長先生に、「妊活と不妊治療の正しい知識」についてお話を聞きました。
津田沼IVFクリニック 吉川守院長先生
山梨医科大学(現 山梨大学医学部)卒業。
亀田総合病院、船橋二和病院、セントマーガレット病院、千葉徳洲会病院、山王病院など、千葉県内の各医療機関での産婦人科医経験後、平成22年11月2日、津田沼IVFクリニックを開業。患者様に寄り添った診察・治療で、信頼を置かれている。
不妊原因、女性の年齢、精液検査所見、夫婦の考え方などによって大きく異なります。
一般不妊治療の一つである人工授精で妊娠する夫婦のほとんどは、3~4回以内に結果が出ます。それ以上の回数で妊娠できる夫婦はとても少数です。
4(~6)回の人工授精で妊娠に至らない場合は、人工授精では解決できない不妊原因の存在が疑われることや、特に女性の高年齢化を少しでも防ぐために、生殖補助医療(体外受精、顕微授精)へのステップアップを提案しています。
抗リン脂質抗体、子宮奇形、夫婦染色体異常につきましては、体質改善など個人の努力では避けることはできません。胚の染色体異常につきましては、卵子や精子の質を高めることにより、多少は避けられる可能性はあると思います。
肥満は着床不全の原因となり、体格指数BMI27以上で流産率が、30以上で反復流産が上昇します。また、肥満では妊娠するまでの期間が長い、生殖補助医療での妊娠率と出生率が低く、流産率が高くなることが報告されています。生殖補助医療では、胚移植までにダイエットを成功することが効果的なようです。
子宮卵管造影検査が妊娠する力を高めるかどうかは、議論の分かれるところです。
子宮卵管造影検査を受けた後、3~6ヶ月ほど妊娠する力が向上するという報告もありますし、検査後に妊娠した患者さんも多く見ます。
津田沼IVFクリニックでは、女性のサプリメントや食事に関する検査として、銅、亜鉛、ビタミンDを、37歳以上の方にはDHEA-Sも測定しています。
銅濃度の高値は着床不全の危険因子であり、亜鉛が銅を下げる働きがあります。また、亜鉛は胎児の発育に重要な栄養素です。サプリメントや食事で、銅と亜鉛の濃度やバランスを整えています。
ビタミンDは着床などの女性の妊娠する力を高め、更に胎児の骨の発育に関係します。サプリメントや食事、日光浴で必要な濃度に高めています。
DHEAは体内ではコレステロールから作られ、女性ホルモンに変換されます。20歳代に最高値となり、40歳代でその40~50%に低下すると卵巣の反応性が低下します。
卵巣予備能が低下している方がDHEAサプリメントを服用すると、抗ミュラー管ホルモン値や胞状卵胞数が改善したり、染色体異常胚が低率であったという報告があります。
また、体外受精周期前にDHEAサプリメントを3か月間服用すると、採卵数、成熟卵数、受精率、良好胚数、臨床妊娠率、継続妊娠率、生産率が高率であったという報告があります。
非ステロイド抗消炎剤やブチルスコポラミンなどが有効です。「鎮痛剤はなるべく飲まずに我慢して、痛みのピークにだけに服用」している女性を多く見かけます。
この服用方法は鎮痛にはあまり効果はありません。月経開始前など痛みが軽いうちからピークを過ぎるまで、十分な量の服薬をしましょう。
漢方薬も効果があります。芍薬甘草湯、当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、当帰建中湯などがあります。1~2カ月以上服薬してみましょう。鎮痛剤と併用することもできます。妊娠が判明したら中止したほうが良いとされる漢方薬もあります。
津田沼IVFクリニックでは、患者さんの声を「聞く」ことをとても重視しています。必要な時には、数十分から1時間以上の時間をいただくこともあります。
患者さんがお持ちの考え、希望、知識、情報などを正確に理解することが、妊娠への最も効率的で最短な治療を提供することができるからです。
検査や治療の必要性を理解してもらい、診察の結果、何が改善・解決していて、何が不足しているのか、どう対応できるのかなど、進捗状況や計画を伝えていくこと、自身を知っていただくことなどが、ストレスを減らすにはとても大切と思います。
本日は詳しいお話をいただきありがとうございました!!